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申告所得税の申告期限はどうやって今の形になったのかの雑学のはなし

(本記事は弊社事務所通信令和3年3月号に掲載された記事をWeb用に書き換えたものです)

今年も確定申告の時期になり、業界的にも最繁忙期になっております。今年は新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言の影響で、申告所得税等の確定申告の期限は1か月延長され4月15日となっており、気分的には少し楽な3月です。

思うに法人税の申告期限は月末なのになぜ所得税の確定申告は3月15日という月の半ばなのだろうか。と思い、ちょっと調べてみました。

個人所得税が申告納税制度になったのは昭和22年からで、その時の申告期限は昭和23年1月31日でした。(これ以前の個人所得税は、前年の実績をもとに所得調査委員会の決議にもとづいて課税する賦課課税制度でした。)アメリカをモデルとして導入された予算申告納税制度は、その年の所得に課税するので、予め年間の所得額を見積もり、その見積額により納税するものでした。
具体的には、一年間の所得額を見積もって4月に予定申告し、予定納税額の4分の1を納税し、そして、7月(昭和22年分に限り8月)、10月、翌年1月にもそれぞれ4分の1を納税、翌年の1月になれば年間の所得額は確定するので、そこで税額を計算して確定申告を行い、予定納税額と精算して納税が完了、という仕組みだったそうです。
それにしても1月31日は厳しいのではと思ったら、「昭和26年の改正で2月末日に延長され、昭和27年分から、現在と同じ3月15日」となったそうです。やはり当時でも厳しかったのでしょうか。個人的には3月31日でもいいと常々思っております。

左は当時の税務署のポスターです。
小学生時代に上手な子が書いたみたいな味わいがありますね。

令和2年の確定申告は個人事業主で売り上げダウンによってコロナ関連の補助金や給付金でどうにかこうにかとおっしゃる方々も申告してみたら給付金のおかげで黒字だったというケースが見受けられます。ここにきて納税になるという結果は堂々巡りな気がいたします。

来月には緊急事態宣言自体は恐らく全面的に解除になり、またGOTOが復活したり、また感染が増えたり、と増えたり減ったりをくりかえして2021年は進んでいくのだろうなと思っていましたが、ワクチン接種の普及でこれが杞憂で終わることを願うばかりです。

ここにきて新しい事業を始めたいというご相談が増えたように思います。一年近く公私ともにコロナで我慢してきた中で色々なアイデアを温めていた方も多いのだなと感じます。

今年こそ、前向きに進みだす春「啓蟄の2021」にしたいですね。

※本稿は令和3年3月1日現在の情報で執筆しております。
※記載されている内容は執筆時点で判明している法律・通達等に基づいて記載をしておりますが、その時点並びにそれ以降における正確性を保証するものではありません。また、一般的な事例を記載しておりますが、特定の個人や組織がおかれている状況に対応するものではありません。本稿を参考に何らかの行動を執られる場合には、税理士をはじめとする専門家にご相談の上ご判断ください

※本コラムの著作権は弊社並びに筆者が保有しております。無断転載複写については固くお断りさせて頂きます。一部引用については適切な措置をお願い致します。

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