電気通信利用役務の提供に関する消費税改正にまつわる話

(本記事は弊社事務所通信令和5年3月号に掲載された記事をWeb用に書き換えたものです)

こんにちは。パートナーの吉原です。

少し前の年明け前後のころに新聞等において 、海外スマホゲーム等に係る消費税の課税強化策としてApple社やGoogle社などのIT大手に対して課税する方法が検討されていることが報じられました。

2015年10月以降、インターネット等を介して行われる電子書籍・音楽・広告の配信などの役務の提供を、消費税法上「電気通信利用役務の提供」としたうえで、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの内外判定基準は、役務の提供を行う者の事務所等の所在地ではなく、役務の提供を受ける者の住所等とされました。

よって国外事業者がインターネットを介して日本国内で電気通信利用役務を提供した場合、国内取引としてその国外事業者に日本の消費税が課されることになります。そしてこのうち、いわゆる B to C取引については、課税される当該国外事業者が申告納税義務も負うこととされています(通称「消費者向け電気通信利用役務の提供」)。

この現行制度の方式では、スマホゲームは従来のデジタルコンテンツの取引と比べて課税が実務上困難であることが昨年の2022年10月に行われた税制調査会におい問題提起されました。すなわちスマホゲームの取引においては、例えばApple社(App Store)やGoogle社(Google Playストア)といったプラットフォーマーが介在するものの、ゲームアプリの販売の仲介や課金の代行を行っているだけの場合がほとんどで、ゲームの販売はそれらプラットフォームを介してサプライヤー自身が行っているため、消費税の納税義務も当然これらの個々のサプライヤーが事業者として負うことになります。

しかし、世界中には大小規模の異なる無数のサプライヤーが存在していることから、十分な捕捉が困難で課税実務に大きな支障をきたしていたとのことです。この点、従来からある電子書籍等の取引では、プラットフォーマーが書籍や音楽の権利者から利用許諾といった形で仕入れてそれを消費者にデジタル取引で販売する形態が主流であり、サプライヤーより事業者数が少ないプラットフォーマーが課税対象である売り手となるため、課税が比較的容易だったと言われています。

そこでスマホゲームについても、サプライヤーでなくプラットフォーマーへの課税を検討することとなったというのが今回の強化策の要旨になります。

先述の税制調査会の資料では、Apple社やGoogle社の約款等を元に各国のプラットフォーマーへの課税の導入状況を調査したところ、取扱いが不明な国を除き、未導入なのは日本を含め3ヶ国のみであったという結果となっています。当該資料では2020年度の国内のオンラインゲームの市場規模は1.6兆円と推計されていることから、未導入で諸外国より立ち遅れていることによる税収の機会損失は莫大な金額となっている可能性が高いと言えるでしょう。

※本稿は令和5年3月現在の情報で執筆しております。
※記載されている内容は執筆時点で判明している法律・通達等に基づいて記載をしておりますが、その時点並びにそれ以降における正確性を保証するものではありません。また、一般的な事例を記載しておりますが、特定の個人や組織がおかれている状況に対応するものではありません。本稿を参考に何らかの行動を執られる場合には、税理士をはじめとする専門家にご相談の上ご判断ください

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