Loading

消費税率10%に上がる・・・といってもいろいろあります。

(本記事は弊社事務所通信平成30年11月号に掲載された記事をWeb用に書き換えたものです)

さて、いよいよ消費税率10%への引上げが正式に決まりましたね。個人的には土壇場まで引上げ延期になるのではないかと淡い期待を抱いていたのですが、予定通り引き上げることになりました。2019年10月1日より税率が引き上げられるとともに、いよいよ軽減税率制度が始動することとなります。

これを受けたマスコミの報道などを見ましても、軽減税率による混乱をあぶり出すような特集が多く組まれていた印象が強いです。典型的なのは「イートイン」か「テイクアウト」かによって飲食品の税率が異なるというもの。テイクアウトと言っておきながら気が変わってイートインされてしまったらもうお手上げです。コンビニのイートインスペースも、飲食を前提としない「休憩所」なる張り紙をすることで、すべてテイクアウトとみなして軽減税率を適用するような案まで出ているようですが、こんなの守られるわけないじゃないですか(カップ食品用にポットが置いてあるだけでもうダメでしょうし。まさか撤去する気でしょうか・・?全然convenientじゃないですね)。税務調査はどうするのでしょう。今度調査官に聞いてみようか。

サプライヤーの税負担も見逃せません。食料品を仕入れる際には軽減税率が適用されつつ、イートインで売り上げるものは標準税率です。8%で仕入れた食材を10%で売り上げますので、税率差2%相当額の消費税の納税インパクトが生じます。ここの影響は結構大きくなる気がします。ちなみに「肉」は、切り分けられたものは軽減税率(食用品)ですが、切り分ける前の「牛」とか「豚」そのものは軽減税率対象外です。10%で牛一頭仕入れて、これをさばいてお肉として売り出すときには8%。この場合は納税額が少し減ることになりますね(売上サイドでも軽減税率の恩恵を受けることができる数少ないケースです)。

軽減税率については、私ももちろんですが税理士はほぼ全員反対の立場だと言っても過言ではありません。毎年の税制改正要望においても軽減税率制度の廃止は必ず含まれていたところですが、もはやここまでですね。あとは実際の運用を踏まえて、少しでも改善してもらうか、あるいは(とてもとても淡い期待ですが)やはり廃止する、といったことになってもらえないか。とりわけ脱力感の強いニュースでありました。

その他、税率の引き上げに伴いもうひとつ大事な論点があります。「税率引上げに伴う経過措置」です。以前、税率が8%に引き上げられた際にも設けられていましたが、一定の取引については、「指定日の前日」(2019年3月31日)までに契約等したものについては、その引渡し等の時期が10月1日以後であっても、旧税率(8%)を引き続き適用するというものです。

詳細は今後、国税庁より案内が出ると思いますが、たとえば以下の取引が経過措置の対象になると考えられます。

・請負工事(2019.3.31までに契約し、引渡しが2019.10.1以後になるもの)
・資産の貸し付け(2019.3.31までに契約したリース契約等に基づき、2019.10.1より前から引き続き貸し付けられているもの)
・旅客運賃(2019.10.1以後の運賃・入場料等につき、2019.9.30前に領収しているもの)
・通信販売(2019.3.31までに販売価格等の条件を提示し、2019.9.30までに申し込みを受け、2019.10.1以後に行われる商品の販売)
・その他(電気料金、特定新聞、有料老人ホーム、冠婚葬祭役務提供等)

実務的にはこちらの方が短期的には重要で、該当契約があるかどうか、あらためて契約書の棚卸しをすることが望まれます。

また、会計システム(ソフト)の更新も必要ですね。今後は「8%」取引も2種類になり、「軽減税率の8%」と「経過措置の8%」は別のものとして会計処理しなければなりません。見た目は同じ8%ですが、国税と地方税の割合が異なるためです(軽減税率:国税6.24%+地方税1.76%、経過措置:国税6.3%+地方税1.7%)。書いていて私もウンザリしてきます(笑)。

いろいろ文句はありますが、決まったことには粛々と対応していきたいと思います。

※本稿は平成30年10月31日現在の情報で執筆しております。
※記載されている内容は執筆時点で判明している法律・通達等に基づいて記載をしておりますが、その時点並びにそれ以降における正確性を保証するものではありません。また、一般的な事例を記載しておりますが、特定の個人や組織がおかれている状況に対応するものではありません。本稿を参考に何らかの行動を執られる場合には、税理士をはじめとする専門家にご相談の上ご判断ください。

※本コラムの著作権は弊社並びに筆者が保有しております。無断転載複写については固くお断りさせて頂きます。一部引用については適切な措置をお願い致します。

関連記事

  1. 消費税増税に際して会計・経理事務で参考になるサイトをご紹介
  2. ダイナースプレミアムカードのリワード変更について考える
  3. クレジットカード納税開始、得か損か。
  4. 自治体が独自に課税することができる「法定外税」とは
  5. 仮想通貨・暗号資産の棚卸実査(残高確認)について
  6. 平成28年度確定申告雑感。
  7. 法人での仮想通貨取引の会計記帳方法について
  8. 確定申告で納税できない!そんな時にどうすればよいかー仮想通貨の税…
PAGE TOP