仮想通貨の収益・利益計算、現物取引とFX(証拠金取引)の取り扱いはどうする?-仮想通貨の税金その5


今回は「仮想通貨の収益・利益の計算」に関して、誤解が多そうなテーマ、現物取引とFX(証拠金取引)について書いていきます。

なお、あくまでも現時点での私見であることを重々ご承知の上ご拝読ください。

現物取引は全取引を合算する必要

仮想通貨の主要銘柄である、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、モナコイン(MONA)、リップル(XRP)等の多くは複数の取引所で売買することができます。

当然、送金もできるため、A取引所で購入し、B取引所に送金して、そのB取引所で売却する、ということも可能です。

仮想通貨そのものはモノと同じであり、どこの取引所で購入しようが(個人間で売買しようが)その種類の仮想通貨であることに変わりありません。

たとえば、500ml入りペットボトルのペプシコーラを、どこの卸から(あるいはどこのスーパーから)購入しても、同じ製品である限り、すべて同等ですから、その取得原価の計算や収支の計算はすべて合算して行うことが正しいことになります。

したがって、A取引所でもB取引所でもビットコインを売買しているという場合、ビットコインの収支計算では、A取引所とB取引所の取引を全て合算して計算する必要があります。

FX(証拠金取引)は個別管理

FX(証拠金取引)も、2017年12月1日に公表された国税庁ホームページでは、雑所得であると示されました。

では、収支計算はどのようにするのでしょうか・・・。

これまでの問い合わせで多いことのひとつは、「現物取引とFX(証拠金取引)を合算して収支計算することでいいですか?」というものですが、これはできません。

FX(証拠金取引)はポジションをとるだけ

現物取引は購入からスタートします(マイニング等でもらうというのにしても同じ)。保有するところからスタートです。

FX(証拠金取引)は、証拠金を取引所に預け入れが必要ですが、売りか買いのポジションを取り、最終的に決済(売りなら買いを、買いなら売りという反対の取引を行う)により、売買の差益だけ決済する仕組みとなっています。

つまり、買いも売りも注文時はそのポジションを持つだけで収支は生じず、実際に収支が生じるのは、その(売りか買いの)ポジションを解消するところで差損益が実現します。

したがって、FX(証拠金取引)では差損益だけ集計することとなります。

現物取引と合算はできません

総平均法を利用する場合、レートが高騰した(年末)段階で大量にレバレッジを効かせて購入すれば、取得原価を引き上げることができる!・・・という意見もあります。

但し、FX(証拠金取引)はあくまでFX(証拠金取引)の中だけの計算となりますし、そもそもFXで購入(買い)はそのポジションを得ただけですので、収支には影響しません。

FXの収支計算の結果、損失が出て、現物取引で利益が出ている場合は、現物取引の利益と相殺することはできます。しかし、取得原価の計算はあくまでも別として取り扱う必要があると考えます。

素人考えは怖いですよ

以前より書いていますが、非常に大切なのは、税理士か税務署の指導をしっかりと仰ぐことです。特に所得(利益)が多額になりそうな方は自己判断ではなく、専門家の指導を仰ぎましょう。

引き続き、連載していきますので、時々覗いてくださいね。

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※本稿は平成29年12月1日現在の情報で執筆しております。
※記載されている内容は執筆時点で判明している法律・通達等に基づいて記載をしておりますが、その時点並びにそれ以降における正確性を保証するものではありません。また、一般的な事例を記載しておりますが、特定の個人や組織がおかれている状況に対応するものではありません。本稿を参考に何らかの行動を執られる場合には、税理士をはじめとする専門家にご相談の上ご判断ください

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