仮想通貨の収益・利益はいつ認識する?後編ー仮想通貨の税金その4・マイニング・法人設立・贈与


今回は「仮想通貨の収益・利益はいつ認識する?」をテーマにした後編を書いていきます。今回はマイニングや法人設立により節税、贈与時の取り扱いを取り上げてみます。

なお、あくまでも現時点での私見であることを重々承知の上ご拝読ください。

マイニングはどうする?!

仮想通貨の多くは世界中のパソコン、サーバー等でその取引について分散処理をされています。あなたのパソコンでもやろうと思えばこれに参加できます。

銀行等のように、銀行自身が取引の処理を行うわけではないのです。

そして、この取引の処理を分担して、適切に処理が完了すると、ご褒美としていくばくかの報酬を得ることができます。

これを「マイニング」といいます。

マイニングは処理を行い完了する都度、報酬を得るので、理論上はその都度・その時のレートで収入を計上することになります。

・・・といっても、人によっては1日で何千・何万という処理を行うので、そりゃ現実的ではありません。

したがって、筆者は・・・「1日のマイニングで得た仮想通貨を、その日の平均レートで円換算した金額を売上計上」するという方法を推奨します。あっさり書いていますが、これ、基準をどうするかとかの検討は必要です。

なお、マイニングにかかる経費は、電気代、PC・サーバー等の購入費、インターネット接続費用等、というところで、これらは収入から差し引くことができます。

ネット上で気になる噂を一刀両断

ちょっと刺激的に見出しを書きましたが、ネット上でなんともはやな税理士ではない方の指南が多数見受けられ、これらを見た方からのご質問を多数受けています。

都度受ける相談については個別のお話に集中したいこともあるので、いくつかバシツっと斬っておきたいと思います。

法人設立で節税できる?!

個人所得税の最高税率は住民税とあわせて55%。事業所得とするにはハードルが高いので、実効税率が最大でおよそ34%程度の法人を設立してトレードしたら節税になる!

・・・という、ここまではおよそ正解です。計上できる費用も幅広くなりますし、個人に残るか法人に残るかの差はあれど、税負担の割合は法人のほうが少なくなる可能性があります。

しかし。

今個人で持っている仮想通貨を、法人に移してすんなりトレードできるわけではありません。

法人に出資(または譲渡)した段階で利益確定し、個人で課税されます。

この点を見逃している記述が多いように思います。

たとえば、1BTC=2万円で購入していた方が、法人を設立するのにの1BTCを現物出資(お金ではなく物品を資本金として出資すること)した場合、この時点のレートで利益確定させたことになるのです。もし出資(法人設立)時点のレートが1BTC=60万円だとすると、差額の58万円が利益となり、所得税の対象となります。

実際に現金を得ているわけではないから、利益にならないと思われている方も多いようですが、現金ではなく「60万円分の会社の権利(株や持分等)」をもともと2万円で買った仮想通貨によって得たのですから、利益が生じている、というわけです。

ちなみに弊社でも法人化のお手伝いもしています(軽く宣伝)。

贈与したら税金がかからない?訳がない!

中には贈与で税金がかからない・・・という訳のわからない見解もあるようでして。

  1. 1BTC=2万円の時に50BTC(100万円)を購入した
  2. 後日、子供に50BTCを贈与した(この時のレートは1BTC=60万円)

という場合、次のように考えて課税することになります。

  1. 贈与側(あげたほう)は、贈与時のレートとの差額を利益確定とする(この場合、(60万円-2万円)×50BTC=2,900万円)
  2. 受贈側(もらったほう)は、受贈時のレートでもらったとして贈与税課税(この場合、60万円×50BTC=3,000万円)

見事にダブルパンチですね。

ちなみにこの場合の贈与税(もらった側が負担する)は1,195万円にのぼります。

素人考えは怖いですよ

以前より書いていますが、非常に大切なのは、税理士か税務署の指導をしっかりと仰ぐことです。特に所得(利益)が多額になりそうな方は自己判断ではなく、専門家の指導を仰ぎましょう。

引き続き、連載していきますので、時々覗いてくださいね。

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※本稿は平成29年10月31日現在の情報で執筆しております。
※記載されている内容は執筆時点で判明している法律・通達等に基づいて記載をしておりますが、その時点並びにそれ以降における正確性を保証するものではありません。また、一般的な事例を記載しておりますが、特定の個人や組織がおかれている状況に対応するものではありません。本稿を参考に何らかの行動を執られる場合には、税理士をはじめとする専門家にご相談の上ご判断ください

※本コラムの著作権は弊社並びに筆者が保有しております。無断転載複写については固くお断りさせて頂きます。一部引用については適切な措置をお願い致します。

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