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仮想通貨の売却益は譲渡所得ではないのかー仮想通貨の税金その2

前回エントリーした3月末から5カ月ほど経過したものの、ビットコインやイーサリアム等のアルトコインに代表される仮想通貨ないし暗号通貨の税制はまだはっきりしておりません。一方で、様々なブロガーさんが税制について書かれているようですが、中には少々疑問を持たざるを得ない見解を書かれている場合も散見されております。

そもそも仮想通貨の税制を国税庁が公式に見解を出していないから、ではあるのですが・・・なんとか早く見解を出していただきたいと、お客様の申告納税をお手伝いさせて頂く税理士の立場からも希望するところです。でもって、お願いですから筆者じゃなくていいので、きちんと税理士に相談して判断していただきたいと思います(その判断も区々でしょうけども・・・)。。。

ちなみに企業会計基準委員会では「仮想通貨に係る会計上の取扱いに関する指針」を検討しているとのことで、一部にはこの公表により税制が決まるという期待をされている向きもあるようですが、会計基準と税制は密接に関係しているものの、「個人の税制にはあんまり関係ありません」ので誤解されないように。あくまで会計の基準でしかありません。

また、電話で税務署に問い合わせた結果で判断・・・というのも、実は必ずしも確実ではありません。なぜなら、その時の対応した税務官もしくは担当した税理士の見解でしかなく、国税庁の正式な見解が出ていないからです。

といっても、筆者のこのエントリーも私見でしかないのですが。。。

さて。

仮想通貨の売却により、利益が生じた場合、譲渡所得(但し総合課税)か、あるいは雑所得かで意見が分かれているようです。

筆者は基本的に雑所得と考えていますが、条件によっては譲渡所得になる可能性も否定できません。

ちなみに事業所得とする場合には、前回のエントリーの通り、非常にハードルが高いと思います。実現させるための条件は、おおよそ以下の通りでしょう。

  • 頻繁にトレードしている
  • 事業として継続し収益を獲得しようとした実績がある
  • 個人事業の開業届を出している(これは最低限の要件)
  • 副業のレベルではない(これは抽象的ですが・・・)

もしサラリーマンであったり、他に本業がある場合にはなかなかハードルが高いと思ってください。

一方で、譲渡所得の場合を見ていきましょう。

譲渡所得の要件は以下の通りです。詳細はタックスアンサーで。

土地建物や株式等を売った場合を除き、資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得と合わせて総合課税の対象となります。

この総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれます。
長期譲渡所得となるのは、所有期間が5年を超えている場合で、短期譲渡所得となるのは、所有期間が5年以内の場合です。
ただし、次の四つの場合には、所有期間が5年以内の場合でも長期譲渡所得となります。(以下略)

ちなみに譲渡所得の計算方法はなかなかに納税者に有利です。以下、タックスアンサーより引用。

譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費(注1) + 譲渡費用(注2))-50万円(注3)
(注)
1 取得費とは、一般に購入代金のことです。このほか、購入手数料(中略)も含まれます。(以下略)
2 譲渡費用とは、売るために直接かかった費用のことです。
3 譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。(中略)なお、譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。

50万円の控除は魅力的ですね。心情的に「譲渡所得だ!」と言いたい気持ちもわからなくもありません。

しかしながら、所得税法33条2項に以下の記載があります。

2  次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一  たな卸資産(中略)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得

はい、「営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得」という文言があります。

多くの方は仮想通貨をトレードしている=営利目的で投資している=その利益は譲渡所得ではない、ということになるかと思います。

例えば、ICO(新規公開)時等に購入し、しばらく何も取引せず保有、その後(たまたま数回)売却して儲かった、という場合は譲渡所得でも差し支えなさそうです。

しかし、この「~継続的に行われる~」という継続的の基準は明確ではありません。なので、どの程度であればこの文言に該当するかは正直明言できないところです。

中には株式のトレードは譲渡所得でできるじゃないか、ならば仮想通貨だって同じではないか、と思われるかもしれませんが、株式などの有価証券の売買は「譲渡所得」です、と税制は規定しているので、規定されていないモノである仮想通貨も同じとは言えないのですね。なお、同じく譲渡所得と規定されている金地金も、場合によっては雑所得という見解もあります(一例として三菱マテリアル社のFAQにリンク)。

上記から、仮想通貨は原則としては雑所得であろう、という見解に筆者が至っていることをご理解いただけたかと思います。

とはいえ、個別事案によってその判断は異なるので、あくまでも私見としてご覧いただければ幸いです。

ちなみに前回のエントリー以来、連日仮想通貨のお問い合わせを頂いております。非常にありがたいものの、電話で軽く無料で相談・・・というわけには(税制が明確ではないこともあり)難しいことをご理解頂けますと幸いです。顧問契約を前提または有料でのご相談については、もちろんお受けいたします(が、筆者の時間も限られております・・・)

※本稿は平成29年8月24日現在の情報で執筆しております。
※記載されている内容は執筆時点で判明している法律・通達等に基づいて記載をしておりますが、その時点並びにそれ以降における正確性を保証するものではありません。また、一般的な事例を記載しておりますが、特定の個人や組織がおかれている状況に対応するものではありません。本稿を参考に何らかの行動を執られる場合には、税理士をはじめとする専門家にご相談の上ご判断ください

余談ですが、雑所得による確定申告について、弊社では「かんたん確定申告」で7万円(消費税別)が基本料金となり、この他に別途料金がかかる場合もございます。但し、取得原価と売却額、利益額の集計はお客様にお願いしております。なお、事前の相談などは別途料金を頂いております。継続的にアドバイスを必要とされる方には顧問契約をお願いしております。ご了承ください。

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※本コラムの著作権は弊社並びに筆者が保有しております。無断転載複写については固くお断りさせて頂きます。一部引用については適切な措置をお願い致します。

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