(本記事は弊社事務所通信に掲載された記事をWeb用に書き換えたものです)

皆様こんにちは。パートナーの鯨岡です。

弊社では税務申告は原則として電子申告によっております。わが国では現在、国税の電子申告プラットフォームとしてe-Tax(イータックス)、地方税の電子申告プラットフォームとしてeLTAX(エルタックス)の2種類が存在します。税目によって電子申告の提出経路が異なるものの、一般的な税目についてはほぼすべて、電子申告の対象となっています。

さて、1月末日は「法定調書合計表」、「給与支払報告書」及び「償却資産税申告書」の提出期限でした。これらは、法人の事業年度にかかわらず、一律にこの日が提出期限ということで、弊社でも処理件数が非常に多くなっておりました。当然これらは電子申告の対象となっており、法定調書合計表はe-Taxで提出し、給与支払報告書及び償却資産税申告書はeLTAXで提出することとなります。

しかし今年は、eLTAXにおいて、提出期限の迫った1月27日から提出期限を越えて2月1日にかけて、全国的な接続障害を引き起こし電子申告に多大な支障が生じました。弊社でもこの接続障害を受けて、電子申告がなかなか受け付けられない(そもそもeLTAXにログインできない)、ログイン後もデータ送信に異常に時間がかかる、データ送信後に発行される「受信通知」が空欄になる、といった事象に直面しました。

幸いにも、総務省(管轄省庁)から各道府県・市町村に対して、eLTAXの障害に起因して期限までに申告が行えなかったとしても、2月3日までに電子申告(または紙媒体での申告書提出)が行われた場合には期限内申告して取り扱うように、との「事務連絡」が出されましたので、結論としては法的な瑕疵を負うことなく、全て期限内申告として取り扱われることとなりましたが、個人的にはシステム障害が及ぼす影響の大きさにゾッとする思いでした。

電子申告が導入されたことによって、地理的な郵便事情に左右されることなく、即座に申告書等を提出できるようになったわけですが、他方で、システム障害は納税者が適正な税務申告から得られる利益を簡単に損なってしまうわけです。今回の障害については、地方税電子化協議会(システムの所管団体)より、予想を超えたアクセスがeLTAXに集中したことにより、予めeLTAXに設定されている負荷上限(しきい値)を超えたためと考えられる、との説明がなされています。しかし冒頭でも述べたとおり、1月末日に期限を迎える税務書類は事業年度にかかわらず全事業者が提出義務を負うわけです。想定が甘かったのではないかと言わざるを得ません。今後こういうことのないようにシステムの改善を強く望むところです。

・・・とはいえ、月末に申告処理を集中させるからだというご指摘も多く頂戴しております。同業者の中には、1月20日頃までには全て申告を終えてしまって、今回のシステム障害とは無縁だった者もおりますし、あるいは電子申告ではなく紙で提出するためシステム障害の影響を受けなかった、という者もおります。紙での申告に全面的に戻す気はありませんが、緊急避難的な選択肢として留意しておくべきなのかもしれません。

電子申告という流れ自体は不可避です。しかしながら、予期せぬシステム障害に備えた対処法についてきちんと考えなければならないなと強く思った出来事でした。

※本稿は平成29年2月5日現在の情報で執筆しております。
※記載されている内容は執筆時点で判明している法律・通達等に基づいて記載をしておりますが、その時点並びにそれ以降における正確性を保証するものではありません。また、一般的な事例を記載しておりますが、特定の個人や組織がおかれている状況に対応するものではありません。本稿を参考に何らかの行動を執られる場合には、税理士をはじめとする専門家にご相談の上ご判断ください。